文章作法講座

文章作法

 小説を書くとき、最低限守りたいルールがあります。創作活動なのだから、自由な形式で書いても良いのでは、とも思いますが、やはり守らねばならないもの。それが文章作法です。
 手に取った本を開いたとき、台詞が地の文(「」の外の文章)と一緒になっている、句読点が無い、段落が無い。そんな本を見たことは無いでしょう。そんなものは古典の本です。
 今回は、その文章作法について述べてみます。一応言っておきますが、これらは全部知っていて当然と言える知識です。使い方を覚えきれない、なんて弱音を吐いてはいけませんよ。


@段落

 段落のこと考えないで小説を書こうだなんてどうかしてます。一マス空けるとか言いません。日本語の常識です。使う媒体等に拘らず使ってください。
 ですが、だからって何も考えずにやっては駄目だということも頭に入れてください。
「俺は日本人だぜ? 段落なんて感覚でオッケーオッケー」何て言っている人は大抵妙な段落分けをするので気を付けましょう。
 段落は一つの意味のまとまりです。一段落一行でも、一段落で一つの文章とするのも間違っている可能性が高いです。
 例えば風景描写などでは何行も続きますね。同じ文章を、段落分けしたのとしていないのとで比べてみましょう。

A:一行一段落の場合
 ドアを開けると、待っていたのは一面の銀世界だった。
 まだ誰にも踏み荒らされていない、完璧な雪面。
 それは出来立ての白無垢以上に汚れのないものだった。
 庭に生えている何本かの背の高い木も、たっぷりと雪を枝に載せている。
 今すぐ落ちそうだと思っていると、突然の陣風に煽られ、地面に雪の丘を作る。
 吐く息は白く、芯から凍るような寒さだが、心躍るものがあった。
 一面に足跡をつけて回りたくなる。

B:段落分けをした場合
 ドアを開けると、待っていたのは一面の銀世界だった。
 まだ誰にも踏み荒らされていない、完璧な雪面。それは出来立ての白無垢以上に汚れのないものだった。庭に生えている何本かの背の高い木も、たっぷりと雪を枝に載せている。今すぐ落ちそうだと思っていると、突然の陣風に煽られ、地面に雪の丘を作る。
 吐く息は白く、芯から凍るような寒さを感じるが、心躍るものがあった。一面に足跡をつけて回りたくなる。

 Aだと何やら違和感を感じませんか?
 Bは『ドアを開けた瞬間の描写』→『その風景の描写』→『ドアを開けた人の心情』という流れで段落を分けています。
 じゃあ段落は短く分けちゃいけないのか。そうではありません。ケースバイケースで短くしても良いのです。
 ではどんな時に短く分けるか。
 書き方の方でも言いますが、例えば戦闘の描写。特に、一対一の剣で結ぶような決闘のシーンなどは、長々書いてしまうと読んでる方がじれったくなってしまいます。
 こちらは私のような拙い文章力の持ち主が例を出すより、その手の小説に触れた方が良いと思います。というか、違いがわかるように書こうと思ったら、どうしても長くなりますので。
 要するに、文章の長さ一つで、時間の流れを早くも遅くもすることが出来るのです。そのために短い文章で幾つもの段落を作れば、そこにスピード感が感じられるというものなのです。劇的なシーンはテンポが早くなるように書きたいというのが私の考えですが、みなさんはそれに浸らなくても構いません。


A「」
 鍵括弧という奴です。台詞を入れるときに使う、なんてことは皆さんご存知かと思います。
 ご使用の際は、次の行になるようにしましょう。その次の文が地の文であれば、次の段落として扱います。
 段落の例文を読んでいただければおわかりかと思います。
 ただし、いつでもそうしなければならないかと言うと、やっぱりそうではないのです。

「明日、試験だね」言って、彼女は繋いだ僕の手を一層強く握った。
「頑張ろうね」
 その言葉だけで、陰鬱な気持ちが吹き飛ぶ思いだった。

 上記の例のように、一連の動作を描写したい場合は、「」の直後に短い文章を入れて、次の台詞を言う人が前の台詞を言った人と同一人物になるようにします。


B「!」と「?」
 大半の人が用途を知っていると思うので特には申しませんが、その後文章が続くんだったら1マス空けるってことを知らない人は意外と多いものです。
 例を少し出してみますね。

「おい! そこの棚さっさと動かせ!」

 こんな感じです。
 続いて「?」の使い方ですが、次の例に注意しましょう。

「え? 明日予定入っちゃったの?」

 この場合、「?」を二回続けるよりは、

「え、明日予定入っちゃったの?」

 のように、読点で繋ぐ方が一般的です。
 「!」と「?」は続けて使わないことが多いように思います。


C…
 三点リーダと言うらしいです。パソコン使うまで誰も知らなかった呼称ではないかと思いますが、それはそこら辺に置いておきましょう。
 これを使う時は、2の倍数になるようにしときましょう。三点リーダの役割は、語調を弱々しく感じさせる効果を出すことです。ちなみに、多く二個だけ使います。
 下に例を出しておきます。

「でも、私にはやっぱり無理だよ……」

 これは一マス空けなくて良いですよ。そこが!や?と違うところですね。気をつけましょう。


D句読点
 「、」が読点で「。」が句点です。名前まで覚えなくても良いかもしれませんが、説明に便利なので。
 この二つは、会話文の最後にはつけないのが今の基本。夏目漱石とかの時代にはありましたし、今もついている小説もありますが、つけなくて問題ないのでつけない方向で行きましょう。
 また、地の文の最後を読点で終わらせて、次に台詞を入れて、その次また動作の字の文を入れると、それが一連の動きになる、という技法もあります。下の例のように使いましょう。

 彼はそこで腰に手を当て、
「だから君たちは馬鹿なんだ」
 呆れ果てたように言った。


E―
 ハイフンとかダッシュという呼びます。ガン○ムに詳しい人はダッシュと呼ぶことに抵抗があるかもしれません。何のことかわからない人はそれで良いのです。
 ご使用の際は2の倍数になるように使いましょう。三点リーダと同じです。
 強調したい時に使うこともありそうです。使うタイミングとか微妙です。
 これを使う技法に、台詞の遮断があります。下の例を見てみましょう。

 正志は尚も食い下がった。
「でもそれは――」
「黙れ」
 しかし、昇一の意思は変わることは無かった。

 上は正志の台詞を昇一が遮っている様子です。正志が何かを言おうとしたまさにその時、昇一が「黙れ」と言ったのです。


F「いい」か「よい」なのか
 悩んでいる人いませんか? 文章ならよいにしないと失格ですよ。これを機会に覚えておきましょう。
 ちなみに、区別がつかない場合は「良い」と漢字にするのが無難です。どっちにすれば良いかわからない、なんて絶対にバレません。というか、これ、「よい」と入力しなきゃ出ませんけどね。


G呼応
 古文を勉強するとき、呼応の副詞というものをやりましたよね? 現代文にも、この言葉を使ったらこの言葉も使わなきゃ駄目、という言葉があります。
 例えば、「何故なら」です。これを使ったら、「〜から」もしくは「〜だから」でフィニッシュです。理由を述べるのに、文末が普通の文章と同じになってませんか? レポートとかでそんなことしたら致命的ですよ。
 もう一つ挙げましょう。「全然」です。ブログに書いたことありましたが、これは否定語で終わらなければなりません。
 最近は「全然良い」などと肯定的に使った口語がありますが、あれは間違いです。
 ちなみに、「違くて」なんて日本語じゃないですからね。


H「w」や「(笑)」
 携帯やパソコンのメールでよく語尾に入れますね。小説ではやりません。地の文でそんなもの使わないで下さい。
 ですが、オンラインゲームの会話の文脈、携帯のメールを文章に入れるというパターンだったら入れることは構いません。
 友人が、何かの賞の受賞作で(笑)を使った作品があったと聞きましたが、あれは脱力しましたね。かなり読める作品だったらしいですが。


Iボキャブラリー
 同じ、又は近い位置にある文に幾つも同じ言葉を使わないようにしましょう。英語や中国語でもそうですが、同じ語の多用はボキャブラリーの貧困を晒すようなもので、避けて通るように言われます。





戻る