『誰からも嫌われた女の子』ジョニー
普段と何一つ変わらぬ朝。私は目を覚ます。
時間は午前七時、学校に行くには十分余裕がある。
私は階段を下りてお母さんに声をかける。
「おはよう」
しかしお母さんはこっちを見もせずに朝御飯の支度をしている。
その対応には私も慣れているので椅子に座る。
そうだ、私の朝食を作らないと。お母さんは私のことは何もしてくれない。
なので私は自分のことは自分でしている。
私は食パンにジャムを塗り食べることにした。
しばらくしてお父さんが起きてきた。
「おはよう、お父さん」
私が挨拶をしてもお父さんはこっちに見向きもせずにお母さんに挨拶をした。
「おはよう、母さん」
「おはよう、あなた。御飯冷めないうちに食べてくださいね」
「あぁ」
お母さんは御飯と味噌汁をお父さんにだした。
「母さんの味噌汁はいつもおいしいよ」
「うふふ、ありがとう」
二人は私のことなんてまるで見えていないかのように過ごしている。
いや、実際この二人には私は見えていないのだろう。
私は朝食をとり、二階に上がり学校に行く用意をする。
「じゃあ、いってきまーす」
もちろん返事などない。期待もしていない。
私は玄関をぬけて外に出る。
こうして私の一人ぼっちの一日は始まるのだ。
校門に着いた私はクラスメートに声をかける。
「おはよう」
だが当然のように相手はこちらを見ずに目の前を通る。
何人か声をかけても同じ反応だったので私は自分の教室へ向かう。
私が教室に入っても誰もこちらを振り向かない。
私は後ろのロッカーに腰をかける。
私には自分の席すら用意されていない。
そう、私はこのクラスからだけでなく学校というものからも嫌われている。
先生が入ってきて授業が始まっても、先生は私のことなど無視するし、出席の確認のときなど私の名前を呼んでもくれない。
私は壁を何度も思い切り叩いた。
しかし、振り向くどころかこの音すら聞こえないかのようにみんなは授業を受けている。
みんなの気をひこうといろいろ試したが、まったく通じない。完璧すぎるほどの無視っぷりである。
私はここにはいられなくなってしまい教室を飛び出す。
勢いよく出てきたのにも関わらず、教室は静まり返っている。
私があそこに居ようが居まいがあそこには関係ないのだ。
だったら私はそこから居なくなってやる。
私は学校に背を向けて歩き出す。
そして私は商店街にやってきた。
さて、どこへ行こうか。
周りを見渡している私の目に洋服屋が飛び込む。
そういえば最近洋服屋に行ってなかったなと思い、私は洋服屋へと足を踏み入れる。
今はまだ五月だというのにTシャツやタンクトップなど夏を先取りしたような商品が大半を占めていた。
その中で私は一つの商品に少し目を惹いた。
それは私の好きなキャラクターがプリントされたTシャツだった。
「あのー、すいません」
私は近くにいた店員に声をかける。しかし店員は振り向かない。
声が聞こえないのかもう一回声をかける。
「あのー!すいません!」
しかし店員はまったくこっちを振り向いてくれない。私はムッときて店員の近くに行き大声で叫ぼうとした。
「あの――――」
「すいませーん」
「はい、なんですか?」
何と店員は私を無視して他のお客の所に行ったのだ。
私はここでも自分の存在が認められていないのだ。
怒った私はTシャツを掴んで持って行き、
「これが欲しいんですけど!」 と突きつけてやった。
さすがに私に気づいたのか店員がこっちを向いたがその瞬間店員は、
「う、うわああああああああ!」
急に叫んで逃げ出してしまった。そんな反応を取られるとは思ってもなかった私は驚いてしまった。 しかし、周りを見渡すと他の店員もお客までもが私を恐怖のまなざしで見ていた。
何が起こっているのかわからない私は怖くなり、この場から逃げるように走り出した。
私は訳が分からなかった。なんで? 私の自分が気に入ったTシャツを買おうとしただけなのに。なんであんな目で見られなきゃいけないの。
私は泣きながら走っていた。
町外れの公園まで走ってきた私はベンチへと腰掛けた。
とても悲しい気分になった。
私は服屋の店員や周りの客の恐怖に浮かんだ顔を思い出す。
あぁ、私はもう親や学校だけでなくこの世の誰からも嫌われているんだ。
さんざん無視され続けて、挙句の果てにはあんな目で見られて、私はもう生きるのに疲れてしまった。
よく「生きていればいつかいいことがきっとあるよ」と言う人がいる。
ならばそれはいつくるのだろう? 明日? 明後日? それとも一年後?
もし、その「良い事」が死ぬ間際に起きて、それまでこんな悪い事が続くのならば人は生きれるだろうか? いや、生きられはしない。人は死を選ぶだろう。
そんなことを考えながらいつのまにか私は廃ビルの中に足を踏み入れていた。
こんなところ私は知っているはずないのに、さも馴染みの場所のように階段を上がって行き、屋上のドアを開けていた。
外はもう夜になっている。ここは静まり返っていた。
ここは私と似ている。
みんなから存在を無視されていて、たまに気づかれれば恐怖される。
だから私はここに来たのかもしれない。
私は壊れたフェンスを潜り抜ける。
あと一歩踏み出せば落ちるところで足を止める。
そこからの景色はとても綺麗だった。
ビルや町のライトがイルミネーションのように輝いていた。
私は環境を破壊しているものを綺麗という自分の感覚に失笑してしまった。
まぁ、いいや。もう私には関係のないことだ。
そうして私は一歩前に踏み出す。
こうして私は意識をなくした。
今日のニュース
今日未明、町の商店街で幽霊騒ぎがあった。
その店の店員の話では自分の目の前で自分の店のTシャツが
急に浮かんでいたという。その証言はそのとき店に居たほかの店員や
お店の客からも確認は取れているが、今のところ原因はわかっていないので、
巷では幽霊ではないかとさわがれている。
今日未明、女性の死体が発見された。
この死体は
検死解剖の結果、この女性は少なくとも死んで一ヶ月は過ぎている。
なお、この死体には不明な点がある。
この死体の死因は少なくとも十メートル以上の高さから落ちてできた打撲の
跡がある。しかし、この死体の周りにはそんな建物が存在していない。
誰かが運んだのだとしてもその理由が不明である。
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