「道化師」秋山涼


 ピエロはいつも笑っています。
 ずっとずっと笑っています。
 何があっても笑っています。
 僕はそんなピエロが大好きです。

 たまのりしながらにっこり。
 転んでもにっこり。
 お手玉しながらにっこり。
 本当に楽しそう。

 でもピエロを笑う人がいます。
 バカみたいだと笑う人がいます。
 それでもピエロは笑っています。
 何でもないように笑っています。

 あるとき僕はピエロと友達になりました。
 ピエロはにっこりしながら僕の前でお手玉をしました。
 それにつられて僕も笑いました。
 ピエロは嬉しそうに笑いました。

 ピエロの招待で劇場に行きました。
 僕も他の人も笑っていました。
 でも、ピエロを馬鹿にした人がいました。
 僕は悲しくなりました。

 ピエロに聞きました。
 何でいつも笑えるの?
 ピエロはそっと独楽を差し出しました。
 これが僕だよとそっと一言添えて。

 紐を巻いて独楽を回してみました。
 くるくるくるくる。
 やがて動きを止めました。
 また回すと、また止まりました。

 夢中になって繰り返すと、独楽が傷だらけになりました。
 独楽を拾い上げて、そっと撫でました。
 僕はピエロがもっと好きになりました。
 ピエロにも独楽にも優しくなろうと思いました。




BACK