『ロリの犬 〜卑猥な雄犬〜』大みかん


  Hello everyone. My name is John. I'm a big dog.
というわけで、こんにちは。ぼくはゴールデンレトリバーのジョン(3さい/♂)です。

名前はまだ無いです。どこで生まれたかとんと見当がつきません。……というのは冗談で、ぼくは3年前にペットショップから買われたんです。そして、この閑静な住宅街に立ち並ぶ様々な家庭の一つ、吉田家で飼われることになったのでした。

 穏やかな日差し、吸い込まれるほどに青い空が町全体を包んでいる休日。ぼくはポカポカしたお日様の光りを背中に受けながら、お庭でうとうとしていました。時折ぼくの毛並みをなでていく風がなんとも気持ちよくって、たまりません。スズメや、コゲラなどの小鳥がさえずる声が耳に入ってきます。あまりの気持ち良さにぼくの意識が夢の中へ向かい始めた、そのとき、ガチャリと玄関のドアが開きました。ぼくはその音に耳を上げ、目をむけると、ぼくの大好きなご主人が出てきました!

 ぼくのご主人の名前は吉田理穂。ちっちゃくてかわいい女の子です。耳の上で結んだ左右のツインテールや、髪留めについているチェリーのような丸い飾り、笑ったときにチラリと見える八重歯、そして、思わず抱きしめたくなるほど華奢なつるぺた具合! どれをとっても頭を撫でてあげたくなるほどかわいいのです。ブルー地に白のラインが入ったキャミソールにチェックのスカート、白いソックスにお気に入りの赤い靴という今日のファッションもたまりませんね! ハァハァ。

「ジョン、理穂と一緒に遊ぼうよ!」
ご主人の幼さあふれるかわいらしい高い声に反応して、ぼくは体を持ち上げ、ワクワクしながら「ワン。」と声をあげ、しっぽを左右に振りました。
「そっかー。ジョンも遊びたくてうずうずしてたんだね。」
ご主人がぼくの反応を見てうれしそうに弾みながらこちらに来ます。
「何して遊ぼうかな〜?」
 左手の人差し指をあごにあてて考えているご主人の様子も素敵なのです。ぼくははやる気持ちを抑えられず、ご主人の細く柔らかな生足に体を寄せうろうろと歩き回り始めてしまいました。
「もう、ジョンくすぐったいよ〜。おとなしくしててってばー。」
 それでもぼくがご主人の生足の周りを歩くのをやめられないでいると、ご主人は少し強い口調で言いました。
「もう、ジョンお座り!」
「きゅう〜ん。」
 思わず悲しい声が漏れてしまいました。どうやら、ご主人を少し怒らせてしまったみたいです。

「そうだ!芸の練習をしよう!」
ご主人の思い付きから早30分、気がつけばぼくは大車輪などという犬の芸当をとっくに超えている無茶な技を要求されていました。鉄棒をつかもうとしますが、正直無理です。ぼくは何度も鉄棒につかまる段階で失敗し、体を地面に叩きつけていました。
「また失敗か〜。なぜか家に体操用の鉄棒があるから使ってみようと思ったんだけど、やっぱりジョンに鉄棒は無理か〜。」
 ようやくご主人は間違いに気づいてくれました! ぼくはうれしくって「ワン、ワン!」叫び、ご主人の丸くてつぶらな瞳を見つめました。
「もう少し簡単なほうがいいかな?そうだ、チンチンをやってみよう!」
 ご主人!「チンチン」なんて破廉恥な言葉を使っちゃダメですよ! というか、こんな道路から丸見えの場所で、ぼくにアソコをさらせというんですか! ぼくは首としっぽを下げ、精一杯やる気なさそうな態度を示しましたが、ご主人がうれしそうな目でぼくを見つめるので、ついに観念しました。
「ジョン、上手。上手。」
 ご主人はアソコを公の場でさらしているぼくの姿を見ながら、かわいらしい笑みを浮かべています。ぼくもご主人のうれしそうな表情を見ていると、はじめはこんな痴態をさらすのは嫌で仕方なかったのに、うれしくなって、ほんの少し悦びを感じるようになってきたのであります。

 ご主人がお昼を食べに行った後、ぼくはまたお庭でゴロゴロしていました。すると、ご主人が散歩用のひもを持ってやってきました。ああー、お散歩に行くんですね。ご主人と一緒に散歩に行く、そう考えただけでぼくは耳がヒクヒクして、シッポもピンとなってしまいます。
「ジョン、理穂と一緒にお散歩に行くよ。今、ひもを付けてあげるから待っててね。」

 ぼくたちはお家を出発しますといつものようにお家から東側の大通りに向かって歩き始めました。
でも、よくよく考えてみて下さい。ぼくは今、ご主人である年端もいかない小さな女の子に、全裸の状態で首輪をつけられ散歩をさせられているんですよ! これはすごいことではないですか! 人間の男性なら大金を支払わないとできない遊びですよ!

 気がつけばぼくは大通りに沿って北へ歩いていました。ここの通りは車が多くて、排気ガスくさいので、ドキドキな妄想からもすぐに引き戻されてしまいます。あ、前から自転車が近づいてきましたよ。ご主人がぼくを引っ張って左に避けました。
「うんしょ。」
避けたついでに、ご主人は縁石の上を歩き始めました。ご主人〜、そんなところを歩いたら危ないですよ! ぼくの心配をよそにご主人は悠々と縁石の上を歩き続けています。あ、ようやく縁石の端に到達したみたいですよ!
「えい!」
 縁石の上を歩いていたご主人がそこから飛び降りたひょうしに、な、なんと! キャミソールのすそがめくれ、淡い白のベビードールの下からプニッとやわらかそうなおなかにかわいらしいおへそがチラリとみえたのです! か、かわいい。意図せずしてそんな言葉が頭に浮かんできました。ご主人の無邪気な行動にぼくの心は激しくときめかずにはおれませんでした。

 大通りの先にある交差点がはっきり見えてくるあたりに、ぼくがいつもおしっこをかけてにおいをマーキングしている街路樹があります。マーキングするところは別に、アスファルト上の電柱でもかまわないんですが、やはり、ぼくに残っている野生の部分のせいなのか、街路樹のためにむき出しになった土に足を置き、ケヤキの幹ににおいを付けておくと心が落ち着くのです。早速ぼくは左後ろ足を上げて、ケヤキに向かってシャーと言う音を立てながら匂いを残しはじめました。そのときになってようやく気づいたのです。ぼくのこんな恥ずかしい姿をご主人に見られているということに! 気恥ずかしさと、興奮から、ぼくの心臓がドッドッドッドッドッドッと16ビートで唄っています。

「ウアウア!」
ぼくが何とも言えない幸せを享受しているときに、邪魔が入りました。ぼくがいつもマーキングしているケヤキに歩道を挟んで並行に建っているお家の飼い犬、パピヨンのコクリコさん(2さい/♀)が窓越しに話しかけてきたのです。彼女は彼女のご主人とともにフランスからこの町に引っ越してきたので鳴き声もフランスっぽいのです。
「ワンワン(何かごようですか?)」
「ウアウアウア(ボンジュール。別にようがあるわけではないのだけれど、あなたの姿を見かけたから、退屈しのぎに話しかけたのよ。)」
 ぼくは少々呆れながら、彼女のふわふわのしっぽが落ち着き無く飛び回るのを見ていました。それにしても、コクリコさんは小さい体なのによく動きますね。体とは不釣合いで大きい耳としっぽがはげしく揺れていますよ。そんなことを考えながら、彼女としばらく取り留めのない話をしていました。
「ウアウアウア(あ、私のご主人がきたし、そろそろ飽きたからもういくわ!)」
 彼女はそう吠えて出窓から降り、家の奥へといってしまいました。去り際の彼女の揺れる耳を見たら、ご主人の歩くたびに揺れるさらさらヘアーのツインテールを思い出してしまい、彼女が去った後はご主人がいっそう素敵に見えたのです。

 ぼくたちはついに大通りに入って、初めての信号があるところまで到達しました。と、いってもお家から数百メートルしか歩いてないんですけどね。
「はい、ジョン、曲がるよー。」
 いつものようにこの交差点を右に曲がり、古くからのお店が立ち並ぶ商店街へと入っていきます。ここの通りはいろいろな年代に建てられた建物が一緒に並んでいるせいか、風が複雑に絡み合って、強風の日でも、大通りほど風が冷たくないのです。また、ここの商店街の人たちは、犬のぼくにさえ優しい、とても親切な人たちばかりなのです。そういうわけで、ぼくもご主人もこの通りがお気に入りで、いつもうれしい気持ちで歩いています。ご主人なんかは気持ちがすぐに、あのかわいらしい顔に出るもので、ここの通りをいつもニコニコ顔で歩いています。そしてぼくは、そんなご主人の表情をみていつも、ほほの筋肉が緩んだり、しっぽが動いたり、耳がピクピクしたりしちゃうのです。

 休日だからか、人通りがいつもより多く、にぎやかな感じです。ぼくとご主人はそんな活気あふれる様子を眺めながら歩いていました。すると、突然、建物と建物の間からヒューッと、冷たい隙間風が通ったかと思うと、時が一瞬止まりました。チェックのスカートのした、柔らかな太もものおくに、ピンクと白の横シマのパ、パンツが!
「きゃぁん!びっくりしたな〜。急に強い風が吹いてくるんだもん。」
ご主人はツインテールを整えながら、少しほほを膨らませました。ぼくは、脳裏深くに刻まれた、ピンクと白の横シマ、シルク生地で肌触りのよさそうな、ご主人のパンツがチラリと見えた映像を落ち着かせるために、しばらくの間、思考が鈍くなってしまいました。

 しばらくして、商店街の中場をぼくたちは右に曲がり、昼間でも薄暗い、人気のない通りに入りました。そこを抜け右に進むと、ご主人のお家に戻れるのです。それにしてもここの通りは気味が悪いんですよ。大きな建物の影になっているから、薄暗いし、そのせいか、何か悪い気配がプンプンしているのです。正直、ぼくはここを通りたくないのですが、ご主人の体力を考えると、これ以上遠くに行くのは辛いから仕方ないですよね。

アスファルトの冷たい感触を感じつつ、通りをしばらく歩いているときでした。
「きゃ〜!やめて!離してよ〜!」
「いいから黙ってこっちにくるんだ!」
ご主人の悲鳴に気づき、振り返ると、目深に黒のベースボールキャップをかぶった、見知らぬ男がご主人の華奢な手をつかみ、どこかに連れて行こうとしていたのです! このままではご主人が危ない! 異常者、変質者、現代社会に横たわる狂気の氷山の一角の、毒牙にかけられてしまう! ぼくは大きな声で吠え、男の手に牙を立てました。そして、ガブリと力いっぱい噛み付きました。もう歯茎から血が出ているのか、男の手から血が出ているのか、わからないほど、強く噛み付いたのです。
「ぐぅぅ!離せー!」
 男の振り払おうとする力にも負けず、ぼくは必死で喰らいつきました。そして、とうとう、男はご主人から手を離し、全速力で逃げ去りました。ぼくは、逃げていく男の背に、ワン!ワン!ワン!と、怒りを込めて、力の限り吠え続けました。

男がぼくたちの前から消え、一安心してご主人を見ると、恐怖からか、ご主人の目には、大粒の涙が溢れ出していました。
「ジョン〜!怖かったよー!ふぇ〜ん。」
 ご主人は泣きながら、ぼくに抱きついてきました。柔らかな腕の感触と、ご主人の、ミルクのような甘くていい匂いがぼくを包みます。「クゥ〜ン」と慰めの声をあげ、ご主人の涙で湿った柔らかなほっぺをペロペロとなめました。ぼくはご主人が落ち着くまでずっと、そうしていました。

「ジョン、ありがと。理穂、どうにか落ち着いたみたい。」
潤んだ瞳でぼくを見つめ、ご主人は笑みを浮かべました。建物の隙間から入り込んできた日光に照らされて、ご主人の顔はきらきらしています。ぼくがまたほっぺをペロリとすると、
「アハハ、もう、ジョンくすぐったいよ〜。」
 ようやく、ご主人の顔に元気な笑顔が戻りました。
「それじゃ!ジョンお家に帰ろうか!」
「ワン!」
ご主人は元気に歩き出しました。ぼくはご主人の顔を見つめながら、前々から思っていたことだけど、ぼくはご主人より力が強いということを改めて確信しました。それでも、ご主人に飼われていることがぼくにはなぜか快いのです。そんなことを考えながら、ぼくたちは、お家へと向かいました。
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